AIとカウンセリング

先日、生成AIの利用率についてこんなニュースがありました。
【出典】生成AI利用経験者58%に倍増 若年層中心、「ほぼ毎日」も3割(共同通信) - Yahoo!ニュース 7/24(金) 10:13配信
【URL】https://news.yahoo.co.jp/articles/5aa4a2d1f88bceb30ad4d8930ff355f2ce94102a
生成AIを利用したことがある人が58%、若い世代を中心に「ほぼ毎日使っている」という人が3割にも上るそうです。海外(米中独)に比べると日本はまだこれからという段階のようですが、私たちの日常にAIがどんどん溶け込んでいるのを実感します。
そんな生成AIの広がりとともに、カウンセリングの現場でも少しずつ変化が始まっているのをご存じでしょうか。今日はそんなお話です。
最近では、チャッピーを始めとすAIチャットボットに向かって誰にも言えない悩みを打ち明ける人が急増しています。
24時間いつでも話を聞いてくれるし、否定せずどんなときも優しく受け止めてくれます。自分のペースで、いつでもどこでもどこまでも、スマホで簡単、敷居も低く、費用もほとんどかからない。時々間違えるけど、すぐに謝ってくる。そしてものすごく賢い。すばらしいですね。
一方、カウンセリングといえば、これまではカウンセラーと相談者の1on1が基本でした。
でも、これからは変わります。
そこにAIという新しいパートナーが加わり「3人」の関係性で心に向き合う時代に入ったといえます。夫婦やカップルでのカウンセリングともなれば、相談者・パートナー・カウンセラー、そして相談者とパートナーがそれぞれAIを所有しいるので合計「5人」です!
なぜかというと、相談者がセッションを終えて、カウンセリングルームを出た後、ポケットからスマホを取り出し、アプリを立ち上げてこう尋ねるのです。
「さっきカウンセラーにこんなこと言われたけど、どう思う?」って!
それくらいAIは、相談者にとってパーソナルであり、頼りになる存在であり、もはや癒しと安心を与えてくれる大切な心のライフラインなのです。
かりに、AIに悩みを打ち明けたとき、「少しネガティブな考え方になっているかもしれません」とアドバイスされたとしましょう。
それを受けて「なんとなくそうかな」と納得する人もいれば「冷たくされた」と傷ついてしまう人もいます。一方で、若い人に多く見られるように「AIは人間より正しい」と信じる人もいます。
これらはカウンセラー視点でいえば、AIの発言が正解かどうかが問題ではありません。その言葉を受け取ったときに「あなたはどう感じたか」「心がどう動いたか」なのです。
AIとのやり取りで生まれた素直な気持ちは、それがどういう気持ちであろうと、正真正銘あなたにとってウソ偽りのない真実なのです。正誤の概念で図れるものではありません。
カウンセラーでさえ引き出すことのできなかった相談者の真実を、AIはいとも簡単に引き出してくれているのです。だから、その真実を上手に取り込み、整理し、寄り添っていくことが、これからのAI時代に求められるカウンセラーのスキルだと思うのです。
そうして真実を分かち合うことでより一層、人間同士の信頼関係を深めていくことができるのではないでしょうか。
もちろん、AIを活用する上で気をつけるべき点も多々あります。個人情報やプライバシーがどのように守られているか、提案や発言に対する倫理的な点に問題はないかなど。また、AIは学習するので発言に偏りが出てくることも分かっています。そのあたりも理解した上で対応していかなければなりません。
いずれにしても、AIが返してくれる言葉は慈愛に満ちた心から湧き上がってきたものではなく、数学的なアルゴリズムと確率に基づいた計算結果に過ぎません。相談者はそのことを常に頭に置いておく必要がありますし、カウンセラー自身もまた、AIの仕組みと最新のテクノロジーが人間に与える影響についてしっかりと学び、理解しておかなければならないと思います。
この記事を書いた人

矢部 和也
キャリアコンサルタント。大学で心理学を学んでいる社会人学生です。夫婦の関係性について社会正義の視点で研究しています。テーマは「個人心理と社会構造から見る現代夫婦のあり方について」夫婦の幸せを“心の問題”と“社会の仕組み”の両面から捉え、新しい夫婦の形を提案しています。



